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シリーズ「仏教のひみつ」イントロダクション

2018/05/19

その他全国

シリーズ「仏教のひみつ」イントロダクション

 

 

 

「坐禅って、興味あります?」

時代は空前の「禅」ブーム

 

 

最近、若者や外国人を中心に、禅が大きなブームになっています。

 

きっかけは実はよく分からないのですが、スティーブ・ジョブズが禅僧に師事して坐禅をしていたこと、またシリコンバレーを中心に、主にIT関連企業の技術者、経営者の間で坐禅が流行っていることなどが影響しているようです。

 

国内では、曹洞宗や臨済宗の寺院を中心に坐禅会は長く行われてきましたが、どちらかと言うと年配の、そして男性の参加者が多いのが実情でした。

そして男性でも特に「禅マニア」「仏教オタク」の参加者の割合が多く、一般の方には敬遠される印象がありました。

 

それがここ数年は若者や女性を中心に「坐禅を組んでみたい!」という人が増え、特に都市部の坐禅会などは定員を大幅に上回る参加申込みがあります。

私が東京で運営している坐禅会も同じような状況です。

 

 

坐禅だけでなく、「禅の思想」や「修行体験」なども人気があり、座学を中心とした「禅セミナー」や、禅堂の生活を疑似体験する「修行道場体験」なども、募集開始ですぐに満席ということも少なくありません。

 

 

 

 

 

禅の修行でスーパーマンになれるの?

ところでみなさんは、「禅の修行」というとどんなことをイメージされるでしょうか?

おそらくは

 

「暑さ寒さや足の痛みにジッと耐える」や

 

「冷たい滝に打たれたり」

 

「燃えさかる火の中を歩いたり」

 

「飲まず食わず」

 

「不眠不休の」

 

「棒でバシバシ叩かれる」

 

といった「痛い・苦しい・辛い」といったものを想像する方が多いのだと思います。

そして「修行を積む」と、痛みや辛さを感じない、精神が統一されて何事にも動じない人間になると思っているのではないでしょうか。

 

でも、ちょっと待って下さい。

暑さ寒さを感じなくなったり、痛みを感じなくなったりすることが、人間にとって本当に必要なことなのでしょうか?それは、人生の中でどのような意味があるのでしょうか?

 

結論から先に言えば、禅の修行をいくら続けても、暑さ寒さを感じなくなったり、痛みを感じなくなくなったり、超人のような能力が身につくわけではありません。

 

スーパーマンになることが禅の修行の目的ではないのです。

 

では、何のために修行するのか。そして修行をすると何がどのように変わるのか。

実はこのことは、皆さんの日常にも大きな影響があります。

 

 

 

 

 

人生を「普通」に過ごすための「禅」

禅の修行は、特別な立場の人間が、特別な能力を身につけるためにするものではなく、

「普通の人間」が「普通」に、でも「確か」に、そして、「安らか」に生きていくためのものなのです。

 

 

「禅は普通を目指す」と聞くと、何だか拍子抜けしたと思うかもしれません。

 

「なあんだ、普通か・・・」とがっかりする人もいるでしょう。

 

でも、本当は普通が一番大事。普通の生活、普通の毎日こそが一番の幸せなのだと、大きな災害を経験したり、病気やアクシデントを経験をする毎に、少しずつ分かってくるはずです。

 

禅の教えと実践には、あなたの人生を普通に、でも確かに幸せに生きるための大切な気づきや知恵がたくさん詰まっています。

 

 

このコーナーでは、その一つ一つを紹介しながら、あなたの人生に役立つ形で提示できればと考えています。

 

 

 

プロフィール:宇野全智

曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職。
1973年山形県大石田町生まれ。

山形大学理学部生物学科卒業後、曹洞宗の僧侶養成機関で3年間、布教活動の実際を学ぶ。

その後、福井県の大本山永平寺にて1年間修行。

以後、曹洞宗の研究機関で仏教や禅の教えを分かりやすく伝え、また生活に役立ててもらえるようにするための冊子編集、研修会の運営などに携わる。
近著に「禅と生きる ―生活につながる思想と知恵 20のレッスン」(山川出版社)がある。